遅咲きの恋の花は深い愛に溺れる
秀人は毎日遅くまで仕事をしていたが、和花に合わせて早めに切り上げるようになった。
宣言通り、和花の送り迎えをしているのだ。
和花は会社まで徒歩で通える距離に住んでいる。会社の最寄り駅を越えて五分ほど歩いた距離にあるワンルームマンションだ。
秀人は元々始業時刻よりもだいぶ早く出勤していたし、終業時刻なんてあってないような働き方をしていた。だから仕事さえセーブすれば和花の送り迎えをする時間は余裕で捻出できた。
「家が近いのはいいですね、通勤に時間をかけるのはもったいない気がしてきました」
「そうなんですよ。近いと残業しても苦にならないというか。でも佐伯さんの場合、家が近いとずっと仕事してそうですよね」
「ん?こう見えて結構仕事サボってるんですよ。僕は橘さんみたいに真面目じゃないから」
「全然説得力ないですよ」
そんなたわいもない話をしながら二人クスクス笑う。
初めこそ緊張していたものの、いつの間にかこれが当たり前になっていった。
(何だか恋人みたい)
そんな風に考えて和花は一人微笑む。決してその気持ちを秀人に打ち明けることはない。今の関係が壊れてしまうのが怖いのだ。
(十分幸せだなぁ)
秀人の横を歩くだけでそう思える。
和花には贅沢すぎる日々だった。
宣言通り、和花の送り迎えをしているのだ。
和花は会社まで徒歩で通える距離に住んでいる。会社の最寄り駅を越えて五分ほど歩いた距離にあるワンルームマンションだ。
秀人は元々始業時刻よりもだいぶ早く出勤していたし、終業時刻なんてあってないような働き方をしていた。だから仕事さえセーブすれば和花の送り迎えをする時間は余裕で捻出できた。
「家が近いのはいいですね、通勤に時間をかけるのはもったいない気がしてきました」
「そうなんですよ。近いと残業しても苦にならないというか。でも佐伯さんの場合、家が近いとずっと仕事してそうですよね」
「ん?こう見えて結構仕事サボってるんですよ。僕は橘さんみたいに真面目じゃないから」
「全然説得力ないですよ」
そんなたわいもない話をしながら二人クスクス笑う。
初めこそ緊張していたものの、いつの間にかこれが当たり前になっていった。
(何だか恋人みたい)
そんな風に考えて和花は一人微笑む。決してその気持ちを秀人に打ち明けることはない。今の関係が壊れてしまうのが怖いのだ。
(十分幸せだなぁ)
秀人の横を歩くだけでそう思える。
和花には贅沢すぎる日々だった。