遅咲きの恋の花は深い愛に溺れる
駅の前は大通りになっていて、歩行者は歩道橋を渡らなくてはならない。
半分ほど登ったところで前から誰か歩いてくるのが見え、和花は邪魔にならないよう端に寄った。が、その人物は和花の方に寄ってくる。和花は不思議に思いながら足を止めた。
「遅かったね、待ってたよ橘さん」
そう声をかけたのはHOKUTOシステムの三井で、和花は一気に体を強張らせた。
顔は赤く、ほのかに酒の臭いがする。
ジリジリと詰め寄られ、和花は一段下がった。
「橘さんのせいで取引は中止、上司からも怒られるし減給と謹慎。なあ、気持ちがないなら思わせ振りな態度するなよ。マジでむかつくんだよ」
三井は怒りをぶつけるように一思いに叫ぶと、和花の腕を捕んだ。
「きゃっ!」
「お前、責任取れよ!」
「やだ、やめてください!」
歩道橋の下の幹線道路には車がビュンビュン通っているのに、こんな時に限って歩行者は誰も通らない。
三井はブツブツと文句を言いながら和花に襲いかかる。
(助けて!佐伯さん!)
和花は恐怖に怯えながら捕まれている腕を振り払い、必死の抵抗を試みた。
半分ほど登ったところで前から誰か歩いてくるのが見え、和花は邪魔にならないよう端に寄った。が、その人物は和花の方に寄ってくる。和花は不思議に思いながら足を止めた。
「遅かったね、待ってたよ橘さん」
そう声をかけたのはHOKUTOシステムの三井で、和花は一気に体を強張らせた。
顔は赤く、ほのかに酒の臭いがする。
ジリジリと詰め寄られ、和花は一段下がった。
「橘さんのせいで取引は中止、上司からも怒られるし減給と謹慎。なあ、気持ちがないなら思わせ振りな態度するなよ。マジでむかつくんだよ」
三井は怒りをぶつけるように一思いに叫ぶと、和花の腕を捕んだ。
「きゃっ!」
「お前、責任取れよ!」
「やだ、やめてください!」
歩道橋の下の幹線道路には車がビュンビュン通っているのに、こんな時に限って歩行者は誰も通らない。
三井はブツブツと文句を言いながら和花に襲いかかる。
(助けて!佐伯さん!)
和花は恐怖に怯えながら捕まれている腕を振り払い、必死の抵抗を試みた。