遅咲きの恋の花は深い愛に溺れる
指定された病院へ駆けつけると、待合所の椅子に和花が一人静かに座っていた。秀人は和花の姿を確認するとひとまず胸を撫で下ろす。
「橘さん」
和花は秀人に気づくと立ち上がり頭を下げる。
「佐伯さん、すみません。来ていただいて……」
「いえ、それより怪我は?」
秀人は和花に怪我がないか上から下まで視線を這わす。が、特に変わった様子は見受けられない。
「いえ、私は擦り傷だけで。えと、三井さんが……」
「三井?」
秀人が眉間にシワを寄せたとき、「佐伯さん」と背後から呼ばれて振り向いた。それは顔見知りである、HOKUTOシステム三井の上司だった。
秀人はさらに怪訝な表情をした。普段ポーカーフェイスな秀人だが、今日ばかりは不信感をあらわにする。
「この度は大変ご迷惑をおかけしまして……」
土下座でもするかのような勢いで頭を下げられ、秀人はまだ何も聞いていないのに頭に血がのぼりそうになった。だが、和花が秀人の袖を控えめに掴む。今にも泣きそうな顔をした和花を見たら自分は冷静にいなくてはいけないと逆に気を引き締められた。
「……どういうことです?」
「橘さんは駅前で三井に待ち伏せされていて襲われたそうです」
「襲われた?!」
病院だということも忘れて秀人は声を荒げる。慌てて和花を見れば目を伏せ小さく首を横に振った。
「橘さん」
和花は秀人に気づくと立ち上がり頭を下げる。
「佐伯さん、すみません。来ていただいて……」
「いえ、それより怪我は?」
秀人は和花に怪我がないか上から下まで視線を這わす。が、特に変わった様子は見受けられない。
「いえ、私は擦り傷だけで。えと、三井さんが……」
「三井?」
秀人が眉間にシワを寄せたとき、「佐伯さん」と背後から呼ばれて振り向いた。それは顔見知りである、HOKUTOシステム三井の上司だった。
秀人はさらに怪訝な表情をした。普段ポーカーフェイスな秀人だが、今日ばかりは不信感をあらわにする。
「この度は大変ご迷惑をおかけしまして……」
土下座でもするかのような勢いで頭を下げられ、秀人はまだ何も聞いていないのに頭に血がのぼりそうになった。だが、和花が秀人の袖を控えめに掴む。今にも泣きそうな顔をした和花を見たら自分は冷静にいなくてはいけないと逆に気を引き締められた。
「……どういうことです?」
「橘さんは駅前で三井に待ち伏せされていて襲われたそうです」
「襲われた?!」
病院だということも忘れて秀人は声を荒げる。慌てて和花を見れば目を伏せ小さく首を横に振った。