このまま惚けて、それから





それは、高校1年生の冬のこと。


学年末テストを終えた日、向日葵とカラオケに行って存分にテスト勉強のストレスを発散して、21時前にバイバイをして家に帰った。


そしたら、玄関の前に奴が居た。



びっくりした。心臓出るかと思った。


そりゃそうだ。だって、家に帰ったら学年一の王子様が待ち構えていたのだから。何が起きたかと思うのが普通。


そう、いたって私の頭は正常に働いていたと思う。



「こんばんは、好きです」

「えっ怖いです」

「奇遇。俺も好き」

「言ってないです耳鼻科行った方がいいんじゃないですか」



思い返さずとも、最初からこの男はおかしかった。


怖いって言ったら好きに変換される。
ちなみに帰れって言っても好きに変換される。
気持ち悪いって言うと、そういう愛の形もあるよねって言われる。



玄野 青という完璧王子が実はスーパーウルトラポジティブストーカーだったということを、私はこの瞬間に全て理解した。


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