このまま惚けて、それから





「遊佐さん、ストーカーを甘やかすの良くないよ」



穏やかな声だった。心做しか気分が良さそうな、そんな声色。ギロリと睨むと、「はぁ可愛い癒しの供給」と言われた。



「なんか遊佐さんってクスリとかタバコと似てる。どっちも経験はないけど、やめなきゃいけないつてわかってるのになかなかやめらんない気持ちが俺は今すげー分かる」

「……はあぁ?」

「遊佐さんと1回キスしたらさぁ、もう俺この感覚忘れらんないよ絶対。寝る時もご飯食べてる時も遊佐さんとキスしてると思ってしまう」

「病気だろそれ」

「未羽って呼んでもいい?」

「嫌です」

「未羽はバカでお人好しなんだね。俺なんかに惚れられて可哀想、そんなとこも可愛いけど」

「嫌って言ったのに何しれっと呼び捨てにしてんのあんた」

「俺とキスするってさ、未羽はもうとっくに俺に好かれる覚悟が出来てるってことでいい?」



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