このまま惚けて、それから
まずい、口が滑った。まるで玄野 青と寝たことがあるみたいな言い方じゃないか。
もちろんそんな事実は全くない。知っている事実を言っただけではあるけれど、このままでは誤解を招いてしまう。
背中を冷や汗が流れ、「未羽?」と首を傾げる向日葵の視線から逃れるように目を泳がせる。
「いやっ、想像!私の元彼にいたんだよね玄野くんに顔がよく似た異状性癖の奴が!」
「あー、そうなん?なんだぁ、玄野くんと知らないとこでデキてたのかと思った」
「あはは無いよ無い無いゼッタイない」
ホント、絶対 有り得ない。
マジでヤバヤバのヤバだもん。
だってあいつは、玄野 青は───…
「つうか普通に異状性癖の元彼の話聞きたぁい」
「えっ?あ、ああ、うん」
向日葵の声にハッとする。
すっかり私の"異状性癖の元彼"に興味津々なようで、玄野 青の話題から逸れて内心ホッとした。