このまま惚けて、それから
「あ、玄野くん」
そんなことを思いながら、ポケットから取り出したスマホを開いたと同時。
席に戻る途中だった向日葵が奴のことを呼んだ。
「遅刻珍しいよね。病院だっけ?体調はもう大丈夫〜?」
「うん。心配してくれてたんだ、ありがとう」
「もちろん〜。玄野くんいないだけで世界の輝きが足りないもん」
「ハハ、面白いこというね」
視界の後ろから聞こえる二人の会話に、心の中でチッと舌打ちをする。
奴の 無駄に爽やかな声に腹が立った。