このまま惚けて、それから
「伊藤さん。遊佐さんも、今帰りなんだ」
「そうなの。未羽にはちょっと遠回りさせちゃったんだけどね」
「遠回り?」
「最近ちょっと一人で歩くの怖くて。なんか、誰かに付けられてる感じがするんだよね」
「それって……」
あ、あ、あ、まって向日葵、
「うん。多分ストーカー。ホント、気持ち悪いよね」
はい、おつかれさま。
返ってくる答えを予想した上であえて聞き出した青もバカだし、何も知らない向日葵もバカ。
二人揃ってバカ。
向日葵、あんたの目の前にいるその王子こそがストーカー界のラスボスだよ。