このまま惚けて、それから
「悪質なストーカー、最初はすごい穏やかっつうか、本当にただ見てるだけらしいんだけどさ」
「ストーカーの基本ね」
「そうそう」
「そうそうじゃねーよ嘘でも否定しろ」
「でもなんか、誰かに見つかりにくいタイミングと場所を見計らって襲うらしいんだよね。性欲強い系のストーカー」
その言葉にゾクリと身体が震えた。
女として、だと思う。
わたしは常に青にストーキングされているからまだ1人になる機会は少ないけれど、向日葵は普段は自宅の最寄り駅からは歩いて帰っているから心配だ。
「伊藤さんがもしその悪質なストーカーに目つけられてるとしたら、まじで誰か護衛つけた方いいレベル」
「なにそれ……」
今日はお母さんが迎えに来てくれるって話だったけれど、それも毎日ってわけにはいかないし。
そのうち本当に襲われてしまったらどうしようと、そんな不安が込み上げる。