全ては、お前の為

｢嬉しそう～！
うん、僕はね…紅零くんに幸せになってほしいんだよ。だから精一杯、協力するよ！｣
｢雨音だ……可愛い…｣
紅零の笑顔。

｢………ほんとに愛してるんだね…雨音ちゃんのこと。
この三年、そんな綺麗な顔見たことなかったよ。
紅零くんは恐ろしい“悪魔”だから。
笑った顔なんて、あまり見たことない。
もう今は、紅零くんに勝てる人間はいないもんね｣
｢愛してるよ。どうしようもなく。
俺は雨音の為なら、雨音と幸せになれるなら何でもする！｣
真っ直ぐ露鬼を見る、紅零。

｢フッ…！
それでね、今日は紅零くんの“覚悟”が知りたくて。
それで呼んだんだよ！｣
露鬼も紅零を見据えていた。

｢殺せる？
自分の両親を━━━━｣

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
紅零は両親を連れ、廃工場に来ていた。
｢紅零、ここは？｣
｢地獄への入り口だよ…｣
ガン━━━━━！！！
ボコッ━━━━━！！！
あっという間に、両親はなぶり殺された。

｢呆気ないねぇ～｣
露鬼が両親を見て、汚いものを見るように嘲笑った。
｢………｣

【紅零くん、幸せへの第一歩は君の“両親”が消えることだよ。
元々の紅零くんと雨音ちゃんの地獄の根源は、両親にある。
もちろん、正しいことじゃない。
でもそれができたら、もう…後は進むだけ。
できる？】

｢後は、部下が始末するから大丈夫だよ。
あ、表向きは事故だから！
よろしくね！｣

｢これが、露鬼の仕事なんだな｣

｢うん。
大丈夫。僕は紅零くんの仲間。
味方。そして、家族。
あ、家族は雨音ちゃんか(笑)！｣

｢露鬼｣
｢ん｣
｢これからもよろしくね！｣
｢こちらこそ！｣