全ては、お前の為
ピアスと刺青
紅零は右耳に三つ、左耳に二つのピアスをつけている。
左耳の二つのピアスは、紅葉と雫。
紅零の“紅”と雨音の“雫”
そして、右耳の三つは殺した人数分の黒いピアスだ。

両親の二人と、露鬼を裏切った男の三人分だ。



「事故で、死んだんだ……もう、二年経つかな。
雨音に内緒にしてごめんね…親父達に会いたくないかなって……」
紅零は、右耳のピアスに触れながら言った。
「そう…今度、お墓に連れてってね」
「会える?親父達に」
「もちろん。やっぱり育ててくれたのは、変わりないから」
「わかった」

「紅零…ピアス沢山つけてるんだね」
「うん、まぁね」
「あ、この紅葉可愛い~」
「そう?これ、俺。
で、その横が雨音」
「え?これ…雫?」
「そ。いつも一緒」
微笑んで、今度は左耳に触れた紅零。

「フフ…」
クスクス笑い出した、雨音。
「え?まさか、退いた?」
「ううん。そうじゃなくて…」
そう言って、自分の足首を見せた。
紅零と雨音の頭文字の入ったペアのアンクレットをしていたのだ。
「私達、考えること一緒だなって…!」
アンクレットに触れながら、フフ…と笑う雨音。

その手に重ねて触れる、紅零。
「それ、ペアなんだよね?」
「え?うん」
「だったら、片方ちょうだい!」
「うん、じゃあ…」
「雨音の方が欲しい」
「フフ…わかった!」
“A”のアンクレットを外し、紅零の足首につけたのだ。

そのアンクレットをジッと見つめる、紅零。
「雨音も…ちゃんと、俺のこと思っててくれたんだね……」
「うん…」
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