全ては、お前の為
「紅零、お風呂先に入って!」
「うん」
「あ、でも…着替えないんだよな」
「いいよ。今日一日くらい」

「お先~」
「いいえ~
━━━━━━!!!」
風呂から出てきた紅零は、上半身裸で出てきたのだ。

「何?雨音?」
雨音は心臓が痛む程、バクバクしていた。
自分の知ってる紅零とは全く違う男っぽさと色っぽさに………
広い肩幅、程よい筋肉、子どもの頃は自分の腕の中にすっぽりだった、紅零。
それが今では、逆に自分の方がこの胸に収まってしまう程の大きな身体になっていることに、身体が熱くなっていくのを感じていた。

「ふ、服着てよ!」
「えーー!暑いもん!今日はこのまま寝る!
あ、まさか!見惚れてんの(笑)?」
「べ、別に!
私も入ってくる!」
そう言って、勢いよく風呂場に向かった雨音だった。
「フフ…可愛い~」
その後ろ姿を見ながら、呟いた紅零。


風呂場内━━━━━━
「見惚れるに決まってんでしょ?
私だって好きなんだから!」
浴槽に浸かり、呟く。
雨音は心臓のドキドキと、身体のほてりのようなものを少しぬるめのお湯で冷まし出たのだった。

風呂場を出ると、ベットの下に敷いた布団の上で紅零が寝転んで雑誌を見ていた。
「紅零、寝よ?」
「━━━━////!!!!」
「雨音」
「ん?」
「もし襲われても、文句言わないでね」
「は?」
「おやすみ!」
「………おやすみ…」
背を向けて目を瞑ってしまった、紅零。

雨音もベットに横になった。
ふと、紅零の背中に目が行く。
「鬼?」
「んー?」
「いや…背中…」
「あー、露鬼が彫れってうるさくて」

「如月さん?」
「うん。俺、暴走族の総長してたんだ。雨音を追い出した両親が許せなくて、家にいたくなくて……それに、雨音を守れるように強くなりたかったから。
露鬼はその前の総長だよ」
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