全ては、お前の為
パーティーを解散して、マンションに戻った二人。
二人はバルコニーで、空を見ていた。
紅零が雨音を後ろから抱き締めている。

「やっと、夫婦になれたね!」
「うん」
「もう…放さないからね!」
「うん」
「雨音?」
「ん?」
「雨音はこの五年、どんな風に生きてきたの?」
「うーん。三年位、アルバイトをしながら生活してた。でね、23歳になった時位にバイト先に楓夏が入ってきて、仲良くなったの。
それで、楓夏に今の会社に一緒に働かないか誘われて、今に至るって感じかなぁ~」
「……そう」
「紅零は?」
「うーん。雨音が出ていって、暴走族に所属して16の時に総長になったんだ。
それからは高校卒業して、露鬼の仕事手伝いながら後の二年を結婚する為の準備をしてたって感じかなぁ」
「へぇー紅零、凄い!
リーダーだったの?」
「うん、まぁね…」
「てことは、喧嘩とか強いの?」
「そうだなぁ。高校卒業して、チーム抜けたからな……どうだろう?」

「紅零」
雨音が腕の中で、振り向いて紅零に向き直った。
「ん?」
そして見上げて、紅零の口唇をなぞった。
背伸びをして、口唇を押しつけるように重ねた。

「私も…紅零を幸せにしたい!
今度は私が、紅零を守りたい!
紅零にいっぱい、助けられたから……!」
「うん、でも雨音が傍にいてくれたら俺は十分だよ!
ほんとだよ!こんな風に二人で暮らして、二人で色んなことを乗り越えたり、楽しんだりして生きていきたい」
「うん!そうだね!」
「あ、そうだ!これ!」
紅零がポケットをごそごそして、小さな箱を出した。
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