全ては、お前の為
「もう調べたの?」
「元々から、だいたいのことは調べてあったんだよ!
楓ちゃんと雨音ちゃんの、勤めてる会社だよ?
ちゃんと把握しておかないとね!」
露鬼が楓夏の頭を、ポンポンと撫でて微笑んだ。

「露鬼、ソイツに会わせて!
許さねぇ…雨音をこんな風に震えさせるなんて……」
「うん、もちろん!
僕も許せないし」
「え?紅零、何するの?」
「え?消すんだよ。ソイツを」
「は?消す?」
「うん」
「どうゆうこと?」
「言葉の通りだよ」
「何を……言ってるの…?」

「見てみる?雨音ちゃん!
君を傷つけた男が消えてくとこ」

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
雨音は紅零達とある山の奥の廃墟に来ていた。
「狩谷さん?」
そこには縛りつけられた、狩谷がいた。
既に何度も殴られているようで、傷だらけだった。

雨音は思わず、目を反らす。
昔の自分と紅零を見ているようだった。
「ごめんね、雨音ちゃん。
益々、昔のこと思い出させちゃうね……」
「露鬼、ある程度で雨音は帰してあげて?
まだトラウマ抱えてるんだからね!」
「うん、そうだね!」

「これは何?」
「雨音を傷つけたから、コイツには消えてもらう。
雨音を傷つける人間は、俺が許さない」
「え?紅零?
違うよ、ただ…腕を掴まれただけだよ!
それで私が昔のこと、フラッシュバックしただけだよ?」
「うん、そうだね。
でも、傷つけたことに変わりはない」

そう言って紅零は、狩谷を殴ったり、蹴ったりし始めた。
それを楽しそうに見る露鬼と、何の感情もなく見据える楓夏。

そのまま狩谷は、亡くなった━━━━
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