全ては、お前の為
真実と深愛
「これを、露鬼さんが?」
「うん!」
「今の電話だけで?」
「うん!」
「貴方は……何者なの?」
「如月 露鬼っていう……楓ちゃんの彼氏だよ?
あー、お兄ちゃんでもあるか!」

「え?」
「ごめんね、雨音。
色々隠してて………
私、露鬼に頼まれて雨音と友達になったの。
紅零くんの代わりに、傍にいてあげてほしいって言われて……
露鬼のことも、雨音に言ったら嫌われるかもって思って言えなかったの……
でも!これだけは信じて?
最初は頼まれて雨音と友達になったけど、今ではほんとに親友だと思ってるの!」
「楓夏……
じゃあ二人は、兄妹なの?」
「うん、正真正銘、血の繋がったね…!」
「でも、苗字……」
露鬼は“如月”楓夏はの苗字は“麻野”だ。

「両親は離婚したから、姓は別々なの」
「それで、結婚できないってことだったんだ」
「雨音ちゃん、受け入れてほしいなんて言わない。
ただ、紅零くんの想いをわかってあげて?
この五年紅零くん、雨音ちゃんの為“だけ”に必死だったよ!
“早く大人になりたい”って口癖のように言ってた。
僕達が赦されないことをしてるのは、十分わかってる。
でもね、こうやって生きてきたんだ。僕達は」
「私の為に、紅零が犯罪を……」
「雨音」
「私の為に………」
「雨音!?」
「はぁはぁ……」
「雨音!!」
「………やっぱり、私は生まれてこなければよかったね。
お義父さんがよく言ってた。
そうすれば、紅零は幸せだったね。
こんな残酷なことせずに、普通に暮らして普通に幸せ掴んでた…
結局私は、紅零を幸せにはできない……」
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