堅物女騎士はオネエな魔術師団長の専属騎士になりました。
「あーあ。アタシの専属騎士が女の子なんて。もう口説けないじゃないの」
「だからじゃないか、ジーク。いい加減男に現を抜かしてないで、真面目に仕事しろ」
「仕事はちゃんとしてるわよォ!したうえで口説いてたのッ!」
「仕事中にやるな!!お陰でお前の専属についていた奴らは、その後精神的なダメージを負って長期休暇を余儀なくされてんだぞ?大事な戦力が減ってこちらも苦労してるんだっ!」
「だってぇ。カッコイイんだもの~、仕方ないじゃない」
(……やはり。)
読みは当たっていたようだ。
マリアベルは頭を抱えそうになる。
なんと下らない理由からの任務命令であろうか。
……いや、男性側からしたら下らないという言葉では片づけられないほど、深刻な問題だったのだろう。
同性に興味のある者であるならまだしも、そうでもない者が同性から毎回のように言い寄られては、さぞ大変だったはず。
ましてや団は違うとはいえ位は遥かに高いお方だ。
断ることもままならず我慢して我慢して……、結果上司に泣きつくしか出来なかったのだろうと考えると、なんとも言えない気持ちになった。