堅物女騎士はオネエな魔術師団長の専属騎士になりました。

……だが、魔術師という立場である以上、仕方ない部分もあるのかもしれない。

この国では生まれてすぐに魔力量の検査を受ける決まりになっている。
その力が平均以上であれば、将来の魔術師候補として秘密裏に魔術師としての教育を受けることになるのだ。


学園生活でも、魔術師科という場所は学園の敷地内でも少し離れた場所にあり、許された人間しか棟内に入ることは許されない。
そして科に所属している者は基本外部との接点は決められた人間以外とは交流できない決まりになっている。
ただ、例外として学園最後の卒業パーティだけは参加を認められているが、彼らはそこでも変化術を使って自分ではない架空の容姿で参加する決まりになっているのだ。

仮に名前が聞こえてきてもその人物の本当の姿は、他の学生は知ることがない。
ゆえに魔術師科に所属していた者は非常に少ない。選ばれしエリートなのだ。

もちろんその中のエリート中のエリート、ジークウェルトの名声も『成績優秀』というものだけであり、彼の容姿などについては一切触れられることはない。そういう優秀な人物がいる、それだけで他は謎に包まれていた。

ジークウェルトは驚くべき魔力量をもって生まれ、将来の道が決まっていたのだろう。徹底した管理の下で過ごしてきたにちがいない。
類まれなるその才能から狙われる危険性があるからと、彼の傍にいたのは常に屈強な男性たちだったのだろう。

数少ない人間たちとの交流。
であればもしかするとその興味は女性よりも、男性のほうに重心が向いていても仕方ないかと思ってしまう。

その力を有していたばかりに本来の自分を隠し、国のために尽くす魔導師。
なんとも過酷な人生であろうか。








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