堅物女騎士はオネエな魔術師団長の専属騎士になりました。
「……以上であります」

「あい、わかった。では、次」

ようやくレオンハルトの長い話が終わったらしい。国王は左手をジークウェルトに向ける。
やれやれと小声で呟きながら、被っていたローブのフードを下し椅子から立ち上がると、国王らに向かって饒舌に報告し始めた。




ジークウェルトはライデルン侯爵家の次男として生を受けた、れっきとした貴族である。

正式名はジークウェルト・ライデルン。
魔術師でいる間は素性を隠すために、信頼出来る者以外には決して家名は名乗らない。それは一族への危険を防ぐための国の決まりであるからだ。
そのためジークウェルトは姓をアルシュタインと名乗っている。
アルシュタインは、かつて師としてジークウェルトに魔術を教えた魔術師の名である。ジークウェルトをここまで育て上げた言わば親のような者であった。その感謝と尊敬の意味も込め、ジークウェルトはアルシュタインの名を姓として名乗っている。
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