堅物女騎士はオネエな魔術師団長の専属騎士になりました。
「……とまあ、こんな感じね。いまのところ、目立った問題は報告されてないわ。このまま続けてくつもり。以上よ」
「あい、わかった。これで全ての報告は出たな」
ようや長い報告会も終わる、そう安堵しながら椅子に座ったジークウェルトであったが、国王はその後も話を続けた。
「して、皆の者。今日は少し厄介な話がある。心して聞いて欲しい。……リード公爵」
「はっ」
厄介な話という言葉に困惑しながらも、国王の神妙な表情に席にいた者たちは姿勢を正した。
「ではこれからは私からお話させていだたきましょう。以前より反国王派の連中が水面下で動いているという情報は入ってきておりましたが、どうやら近々、行動を起こしそうな気配が見られます」
反国王派、という言葉にざわりと空気がどよめいた。
現時点ではエレノア王国は平和であるといっても過言ではない。
だが、だからといって争いがないわけではないのだ。小さな争いは少なからずあるし、表向きは親しくしていても、腹の内は真逆だったなんてこともざらにある。
ともあれまさに今、そういう状態であるのだ。
エレノア王国の二大公爵といえば、政務補佐を務めるリード公爵と、国内の貴族らが加入する貴族会の会長を務めるラファン公爵である。
じつはこのラファン公爵にはある疑いがかけられていた。
それが反国王派の首謀者ではないか、ということである。
リード公爵家とラファン公爵家は、昔から何かと対立を繰り返していた。今の政務補佐の役を決める際もいざこざがあったほどである。
どちらの役も重要職であり名誉職でもあるのだが、王族と関りが近いのは政務補佐であったため、どうやらその部分から争いがあったようだ。
国王はあくまで公平に審議を重ね、結果リード公爵が政務補佐と決まったのだが。
その時のラファン公爵の荒れっぷりは凄まじいものだったという。
今でこそそういった一面は表では見せることはないが、だがその後ラファン公爵の良からぬ話が国王の耳に入ることとなった。