堅物女騎士はオネエな魔術師団長の専属騎士になりました。
やがて部屋の外から足音と話し声が聞こえる。
その音に騎士たちはぱっと目を開け、立ち上がると姿勢を正した。マリアベルも遅れを取って同じように直る。
「うむ、待機ご苦労。行こうか」
「はっ」
国王の専属騎士、続いて公爵の騎士が主について部屋を出ていく。ジークウェルトはそれから少しの時間を置いて部屋にやってきた。
ジークウェルトの明るい声を聞いて、マリアベルはなぜか心なしかホッとしてしまう。
「ごめんねぇ、ちょっとレオンとお話してて遅れちゃった」
「いえ、問題ありません」
「じゃあ戻りましょうか。さ、アタシに掴まって」
行きと同様、あっという間にジークウェルトの腕に掴まって引き寄せられてしまった。
見上げればフードの中のジークウェルトと視線が交わる。
しかし直ぐにその視線も逸らされてしまうだろう、そうマリアベルは思っていた。だが、ジークウェルトはじっとマリアベルを見つめ続けたまま、ずいっと顔をより近づけた。
マリアベルは驚いて思わず身体を逸らしたが、後ろにジークウェルトの腕が回されているからか、思ったより逸らせない。
「あ、あの……?」
「マリーちゃん、何かあった?」
「え?」