堅物女騎士はオネエな魔術師団長の専属騎士になりました。
なのに。
目が離せない。マリアベルの笑みに。
心臓がどくどくとうるさく脈打つ。
「……どうなされました?ジーク様」
口元を手で覆ったまま微動だにせずマリアベルを見つめているものだから、さすがのマリアベルも気付いた。
後ろにいるジークウェルトに身体を向けて声をかける。
怪訝な表情で見上げているマリアベルと目が合って、ジークウェルトはハッと我に返った。そして慌てたように言葉を返す。
「な、なんでもないわよ。さっ、次は髪とドレスね!どんどん行くわよ!ほらほら、ちゃんと前向いてねっ!」
少しばかり顔が赤いような、とマリアベルは思ったが、それを聞く間も与えられぬまま前を向かされ、ジークウェルトは髪を梳かし編み込みを始めた。
手際よく器用に編み込まれていくマリアベルの赤髪。それをさらに後ろ手にくるりと纏め、飾りを付けていく。
普段も後ろ手に纏めているが、ひと手間加えただけでこれほどまでに見た目も変わるとは。
「さあ、最後はドレスよ。立ったら目を瞑ってね」
マリアベルは椅子から立ち上がると、目を瞑る。
詠唱が聞こえた。
どうやらドレスは魔術で着せてくれるらしい。なんとも魔術とは便利なものである。
一瞬だけ身に着けていたものが無くなった感覚がしたが、直ぐに普段感じない息苦しさを覚える。特に胃の部分から腰の辺りまでガッチリと固定されたようになって、自然と姿勢が伸びた。
腕辺りはレースのような肌触りのいい感触。おろしていた手にスカート部分が触れる。
目が離せない。マリアベルの笑みに。
心臓がどくどくとうるさく脈打つ。
「……どうなされました?ジーク様」
口元を手で覆ったまま微動だにせずマリアベルを見つめているものだから、さすがのマリアベルも気付いた。
後ろにいるジークウェルトに身体を向けて声をかける。
怪訝な表情で見上げているマリアベルと目が合って、ジークウェルトはハッと我に返った。そして慌てたように言葉を返す。
「な、なんでもないわよ。さっ、次は髪とドレスね!どんどん行くわよ!ほらほら、ちゃんと前向いてねっ!」
少しばかり顔が赤いような、とマリアベルは思ったが、それを聞く間も与えられぬまま前を向かされ、ジークウェルトは髪を梳かし編み込みを始めた。
手際よく器用に編み込まれていくマリアベルの赤髪。それをさらに後ろ手にくるりと纏め、飾りを付けていく。
普段も後ろ手に纏めているが、ひと手間加えただけでこれほどまでに見た目も変わるとは。
「さあ、最後はドレスよ。立ったら目を瞑ってね」
マリアベルは椅子から立ち上がると、目を瞑る。
詠唱が聞こえた。
どうやらドレスは魔術で着せてくれるらしい。なんとも魔術とは便利なものである。
一瞬だけ身に着けていたものが無くなった感覚がしたが、直ぐに普段感じない息苦しさを覚える。特に胃の部分から腰の辺りまでガッチリと固定されたようになって、自然と姿勢が伸びた。
腕辺りはレースのような肌触りのいい感触。おろしていた手にスカート部分が触れる。