堅物女騎士はオネエな魔術師団長の専属騎士になりました。
なんだかんだ言ってマリアベルは受け入れている。
初めは不安ではあったが、今ではこの仕事に嫌な気持ちなどひとつもなかった。むしろ今では少しだけ面白いと感じているくらいだ。
ジークウェルトと話すのは楽しい。
たまに返答に困ることを聞かれたりすることももちろんあるが、それ以上に色々な考え方や捉え方など得るものが多いからだ。
とはいえ半日待機なんてこともザラにある。でもジークウェルトの仕事ぶりを見ているのも飽きることはないし、気を使って声も掛けてくれるため、以前の騎士の仕事よりも時が経つのが早く感じるほどだ。
それにもう昼食を共にすることも慣れ、そこでの会話は大分くだけたものになっている。
ジークウェルトの口調が女性らしいということもあるのだろう、まるで同性の友人と会話しているような気安さがあり、つい地が出てしまうまでになった。
本来ならば失礼にあたることなのだろうが、ジークウェルトはむしろそれを歓迎している。
共に行動するのだから、多少の気心はお互い知って当然だろうと。
マリアベルはそれが密かに嬉しかった。
これまで自分を隠し行動していた日々であったから。
感情も出さない、言葉も必要以上を発さない。威圧と威厳だけを纏って国の盾となる毎日。
しかし、それだけでは専属騎士は務まらないと気付かせてくれたのは、紛れもなくジークウェルトだ。
専属騎士となってまだ日は浅いが、それでもマリアベルは前よりも変わったように思う。
凝り固まった考えを柔軟にさせてくれる人、それがジークウェルトという人間なのだ。