堅物女騎士はオネエな魔術師団長の専属騎士になりました。

招待されていた貴族たちが粗方集まったのだろう、入り口の大きな扉が閉められた。
それと同時に国王と王妃が姿を現し、遅れて第一王女のジョセフィーヌも姿を見せた。幼気な少女も今やその面影は無くなり、知性と優艶さを兼ね備えた女性と成長している。
その美しさからか、どこからともなく感嘆の声が聞こえ自然と拍手が起こった。


国王は壇の真ん中に立ち拍手を制し、ひと通り辺りを見渡すと高らかに声を上げた。


「皆の者、この目出度い今日の日にお集まり頂き大変感謝する!ジョセフィーヌはこの国のため長き留学であらゆる勉学に励み吸収し、晴れて16となったこの年に国へと戻ることと相成った!王女がこのように恙なく成長できたこと、これもひとえに皆のお陰でもある」

「皆さま、大変お久しぶりでございます。今日は私のためにこのような会を開いて下さり大変感謝しております。国王の仰いますように今後はこの国のため、国民の幸福のため、尽力していきますことこの身を持って誓います。ゆえどうかお力をお貸しくださいませ」


国王のあとに王女の言葉。王女は堂々と参加者たちに言ったのち淑女の礼をする。
芯のぶれない完璧な礼であった。

参加者たちからは再度大きな拍手が湧いた。


もちろんマリアベルとジークウェルトも王女へ拍手を送る。
わずか16歳という年齢でここまで言ったのだ。王族でなければまだ学生の身、友人と語らい淡い恋をし青春を謳歌していたに違いない。だが、王女として生まれた以上、そのような生活は叶わないのだ。
自分を犠牲にしても、この国のために尽くす。マリアベルたちよりも幼い年でありながらその決意を持って頭を下げている。

そんな王女の想いに抗う者などいるだろうか。
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