騎士のすれ違い求婚
✴︎


氷の騎士が欲しいもの。

自らの腕だけで手にした名声、領地。

そして、彼は愛する人を手にする。

「とある御令嬢を娶りたい、ともに辺境の地に」

と彼の声が広間に響く。

「名前は明かせない。
先に本人に結婚を申し込む。
命じられたからではなく、心から彼女に望んでもらいたいから、生涯をともに歩む事を、まずは彼女に言わねばならない」

国王が笑う。

「なかなかロマンチックなことよ」

みなは、その騎士の愛に酔う。
騎士団の皆は、彼が心をささげる御令嬢が誰かは、よく知っていた。

「では、その女性から色良い返事をもらってから、改めて命じようではないか」

と王が楽しそうに言った。

その足でジュシアノールは、第二王女の宮にやってきた


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