騎士のすれ違い求婚
✴︎✴︎✴︎
フラフラしながら王宮の門の詰所に行き、体調が悪くなり、実家である公爵家に至急戻りたいと説明する。
すぐに馬車が手配された。
それに乗り込む。
ぼんやり窓の外を見ると、城門が涙でにじむ。
涙は後から後から溢れて、とまらなかった。
(ジュノ様は私の騎士様だったのに⋯⋯ )
馬車はティアの家、公爵家の本邸に向かって走る。
先程の彼の勇姿を、ティアは瞼の裏に思い浮かべた。
立派な騎士になったジュノ様。
彼はやはり透けるような白い肌をしている。
(子供の時とおなじだ)とティアは思った。
それは年月をかけて鍛えても、戦で駆け回っても変わらない、やはり妖精のように美しい肌をしている。
そして目を疑うほどの美丈夫だ。
礼儀正しく、柔らかい物腰、きちんとしていて、清潔。
物静か。
無駄なものがないかんじがする。
身も心も研ぎ澄まされ、積み重ねて彼は彼らしく作りあげられている。
いつでも洗いたてみたいに綺麗で、珍しい白銀の髪は短く整えられ、神のように美しい顔を華やかに見せる。
人々はジュシアノールを氷の騎士と呼んでいる。
彼は大きなサファイヤのような美しい瞳をしている。
ティアが初めて会ったとき、吸い込まれてしまいそうだと思った瞳。
宝石のような、深い森の湖のような、ないだ静かな、底が深い瞳。
彼が王女に贈った髪飾りに、そんな彼の瞳の色の宝飾が施されていた。
ティアは苦しく思い浮かべた。
フラフラしながら王宮の門の詰所に行き、体調が悪くなり、実家である公爵家に至急戻りたいと説明する。
すぐに馬車が手配された。
それに乗り込む。
ぼんやり窓の外を見ると、城門が涙でにじむ。
涙は後から後から溢れて、とまらなかった。
(ジュノ様は私の騎士様だったのに⋯⋯ )
馬車はティアの家、公爵家の本邸に向かって走る。
先程の彼の勇姿を、ティアは瞼の裏に思い浮かべた。
立派な騎士になったジュノ様。
彼はやはり透けるような白い肌をしている。
(子供の時とおなじだ)とティアは思った。
それは年月をかけて鍛えても、戦で駆け回っても変わらない、やはり妖精のように美しい肌をしている。
そして目を疑うほどの美丈夫だ。
礼儀正しく、柔らかい物腰、きちんとしていて、清潔。
物静か。
無駄なものがないかんじがする。
身も心も研ぎ澄まされ、積み重ねて彼は彼らしく作りあげられている。
いつでも洗いたてみたいに綺麗で、珍しい白銀の髪は短く整えられ、神のように美しい顔を華やかに見せる。
人々はジュシアノールを氷の騎士と呼んでいる。
彼は大きなサファイヤのような美しい瞳をしている。
ティアが初めて会ったとき、吸い込まれてしまいそうだと思った瞳。
宝石のような、深い森の湖のような、ないだ静かな、底が深い瞳。
彼が王女に贈った髪飾りに、そんな彼の瞳の色の宝飾が施されていた。
ティアは苦しく思い浮かべた。