託宣が下りました。
*
「カイなんか嫌いだ。未来の可能性を見ようとしない」
ぷん、と顔をそらしながら十歳となったソラは言う。十歳のくせに大人びたことを。
同じ馬車に揺られるアルテナが、くすくす笑いながらカイを見る。
「カイ様、きっと後悔なさいますよ?」
……それをあなたが言うんですか、お姉さん。カイは心の中で小さくつぶやく。
分かってる。ソラがいまだに自分を好きでいてくれていることくらい。
ソラが将来どんな人に――どんな女性になるのか、気にならないわけじゃない(被害は最小限に抑えたいので)。
でも。
――後悔、する気がする。そっぽを向いたままのソラの横顔をひそかに見つめて、カイは思う。
こんなに生き生きとした子なら、きっと未来も活力にあふれた美しい人になるのだろう。自分にとって一番苦手な――。
一番、目を奪われずにはいられない、人に。
そのとき自分は、ソラをまっすぐ見られるのだろうか。
(……いいんだ。ソラちゃんにはもっといい人が見つかるよ)
「カイ! さっきからなに人をじろじろ見ている!」
「うわああななな何でもないっ」
「カイ様、女の子をじろじろ見てはいけませんよ」
「おおお姉さん分かってて言ってるでしょう!」
――馬車は平和に道を進んでいく。どうか未来も、このまま平和で……
(カイとソラのカンケイ/終わり)
「カイなんか嫌いだ。未来の可能性を見ようとしない」
ぷん、と顔をそらしながら十歳となったソラは言う。十歳のくせに大人びたことを。
同じ馬車に揺られるアルテナが、くすくす笑いながらカイを見る。
「カイ様、きっと後悔なさいますよ?」
……それをあなたが言うんですか、お姉さん。カイは心の中で小さくつぶやく。
分かってる。ソラがいまだに自分を好きでいてくれていることくらい。
ソラが将来どんな人に――どんな女性になるのか、気にならないわけじゃない(被害は最小限に抑えたいので)。
でも。
――後悔、する気がする。そっぽを向いたままのソラの横顔をひそかに見つめて、カイは思う。
こんなに生き生きとした子なら、きっと未来も活力にあふれた美しい人になるのだろう。自分にとって一番苦手な――。
一番、目を奪われずにはいられない、人に。
そのとき自分は、ソラをまっすぐ見られるのだろうか。
(……いいんだ。ソラちゃんにはもっといい人が見つかるよ)
「カイ! さっきからなに人をじろじろ見ている!」
「うわああななな何でもないっ」
「カイ様、女の子をじろじろ見てはいけませんよ」
「おおお姉さん分かってて言ってるでしょう!」
――馬車は平和に道を進んでいく。どうか未来も、このまま平和で……
(カイとソラのカンケイ/終わり)