託宣が下りました。
(逆に考えれば、抜擢されていたから忙しくて返事を書けなかったのかもしれないけれど……)
いいえ、シェーラのことです。もしもそんなことがあれば、ほんの短い手紙ででもすぐさまわたくしに教えてくれたはずです。
だからわたくしは不安なのです。今回の託宣は、何かがおかしいような――。
わたくしはアレス様たちに、ソファにかけるよう勧めました。洞窟攻略から帰ってきたばかりの二人に立ち話をさせるなど論外です。
使用人が入ってくると、アレス様とカイ様にお茶を出していきました。しかし二人とも飲む気になれないようで、なかなか手をつけません。
「魔王の復活か。それとも別の魔王なのか」
アレス様は腕を組みうなりました。「半年以内……か。早いな」
わたくしは彼の心情を思い、やるせない気持ちになりました。
苦労して魔王を倒してまだ一年。
……さらに次の魔王の話題なんて、聞きたくもなかったでしょうに。
沈黙が、部屋に満ちました。
しんと静まりかえった居間の中央で、テーブルの紅茶から伸びる白い湯気だけが動いています。
そんな中、沈黙を破ったのはアレス様。
「ただ、我々は星の神に見放されてはいないらしい。それだけは幸いだ」
「………」