託宣が下りました。
「――え?」
騎士の家人がミラエル孤児院にまでやってきたのは、その翌日早朝のこと。
「何だと? もう一度言え、ウォルダート!」
騎士がいつになく真剣に迫ります。
わたくしはその後ろで硬直していました。なに、今聞いたものはなに――。
ウォルダートさんは折り目正しく礼をすると、もう一度事態を報告しました。
「出立式は延期になるようです。ラケシス・リリーフォンス様が王宮にて捕らえられました」