託宣が下りました。

 カイほどではないが年齢の割には背が低く、細身の男だ。頬がややそげていて顔色が悪く不健康な印象を受けるが、実際は割と頑丈なほうである。しかし見た目とは重要なもので、彼は町を歩いていても避けられることが多い。

 ……本人もあまり人と交流したがらないため、願ったり叶ったりらしいが。

 ヒューイはヴァイスを無視して酒をあおる。その隣で、アレス・ミューバッハがため息をついている。

「まあ話くらいは聞いてやってくれ、ヒューイ」
「冗談じゃねえ。どうせくだらねえ話だろ」
「くだらないだと? 俺の一生に関わる話だ! ここで失敗したら俺の一生は台無しだ!」

 ヴァイスはテーブルの上で大げさにポーズを取る。ヒューイは鼻の上にしわを寄せた。

「腹巻きごときで壊れる人生ならさっさと自分で終わらせろや」
「されど腹巻き。腹は大事だぞヒューイ! 大切な差し入れになるだろーがっ!」
「さ、差し入れ……」

 カイは思わずつぶやいた。即座にヴァイスがこちらを向いた。

「そう、差し入れだ。巫女のお父上にな」
「サンミリオンの町長にか? 腹巻きを?」

 と、これはアレス。呆れ果てた顔をしている。

 うむ、と大真面目にヴァイスはうなずいた。腕組みをし、アレス、ヒューイ、カイをぐるりと見回す。

「物騒な時代だ。町長ともなれば人一倍身の安全には気をつけなくてはならん」
「……それで?」

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