託宣が下りました。
どん。テーブルに拳を叩きつけ、ヒューイはヴァイスをにらみつけた。ただでさえ悪い目つきが凶悪に光っている。
ヴァイスはきょとんとした。
「迷惑だったのか?」
「本気で言ってんのかこのボケ!」
「お前たちだけで手こずるような魔物はそうそういないと思っていたんだが……そうか、苦労させたなら悪かった」
「………」
う、とヒューイは引きつった。あちゃあ、とカイは下を向く。
魔物の強さに関して一番鋭いのは、なぜかヴァイスだった。野生の勘とでもいうのか、一目で敵の強さを見抜くようなところがあるのだ。
同時に、仲間の強さもまた。
実際ここ数ヶ月、ヴァイスがいなくて困るような魔物はいなかった。だからヴァイスは、残りの仲間たちの能力を信用していた、とも言えるわけで。
ヒューイだってそれを分かっていないわけじゃない。ただ……
徹底的に女性嫌いの彼にしてみれば、今のヴァイスはどうしても許せないらしい。
「まあ、その話はいいじゃないか。問題は腹巻きだ」
アレスが仲裁を始めた。腹巻きで仲裁するのもどうかと思う。
「ヴァイス、どうしても腹巻きがいいんだな?」
「うむ。どうしても腹巻きだ」
「そうか。俺はお前の頭が深刻に心配だが置いておくとしよう。ヒューイ、作ってやってくれないか」