託宣が下りました。

 騎士の誘いで、わたくしは彼と連れ立ち修道院を訪れることになったのです。

 懐かしの修道院の匂い。胸に吸い込むと、少し切ない心地がします。
 修道長室に案内される間、わたくしたちは修道女たちの好奇の視線にさらされていました。変装は、とうの昔に解いてしまっていました。胸がどきどきして落ち着きませんでしたが――同時に解放感もありました。

 アンナ様はわたくしの来訪を、手放しで喜んでくださいました。

「アルテナ。本当につらい思いをさせましたね」

 わたくしを優しく抱きしめてくれる、その暖かさ。だから修道院が好きだったのだと思い出す一瞬。

 騎士は部屋の外で待っていてくれることになりました。「積もる話もあるだろう」と。
 本当に、このごろ騎士は優しすぎて恐いほどです。

 部屋にアンナ様と二人きり。アンナ様はわたくしが落ち着くのを見計らってから話し始めました。『託宣とは何か』――を。

「神の言葉は絶対です。本来は王宮がその存在を認知しようがしまいが、結論は同じになるはずなのです。本物の託宣でさえあれば」

 ただしふつうの国民にとって、その託宣が本物かどうかなど、下された時点では判別のつきようがない。したがって……

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