託宣が下りました。
彼らにしてみれば、自分よりも決定権が上の者――すなわち王宮がその託宣を『嘘』だと断ずれば、『嘘』になってしまうのだと。
「国民にとって、ひとつの玩具に過ぎぬのかもしれません。王宮が否定した、それにはこんな裏があるらしい。そういった話題のほうが彼らには面白い。託宣がただ実現するだけの『本物』であるよりもずっと」
「アンナ様は――」
わたくしは小さく尋ねました。「ご存じですか……。昔、嘘の託宣をしたとして国を追い出された巫女を」
「もちろんです」
アンナ様は悲しげに微笑みました。「そして、あの託宣が嘘であるかどうかを確かめるすべは、彼女が死ぬまでありません。――彼女はまだ存命です、隣の国で」
私の友人だったのです。アンナ様は、穏やかな声でそうおっしゃいました。
優しい夕焼けの差し込む時刻のことでした。橙色の日光が窓から降り注いで、たたずむアンナ様のお姿を淡く彩っていました。
「王宮は判定を覆しました」
アンナ様はおごそかにわたくしを見つめ、「したがって、あなたはいつでも、自由にここに戻ってこられます。修道女ではなく、星の巫女として」
「アンナ様」