託宣が下りました。
アンナ様のお言葉は、凝り固まっていたわたくしの考えを優しくほぐしてくれるかのようでした。
そうして、ほどけた塊の中央から、新たな心が現れるのです。
胸を張っていい――そう言ってくださるアンナ様にだからこそ、言える。正直な心。
「わたくしは恐かったのです、アンナ様。あっさりと自分の信じていたものを覆すことが」
ええ――アンナ様は温柔な仕草でうなずきました。
「本当は、とっくに心が決まっていたのかもしれません。でも見えた道は今まで憧れてきた道とは正反対のものでした。そんな自分が、恐くて」
「そうね」
「――騎士は、修道院に戻っていいと言ってくれています」
それを言葉にした瞬間、胸につんとした痛みを感じました。
そう――騎士は、そう言ったのです。修道院に戻ってもいいと。
そのためにも、わたくしの復権を願ったのだと。
『出立が早まりそうだから』
彼は苦く笑ってそう言いました。どうやら「間に合いそうにない」と――、
……何が何に間に合わないと彼が思っているのか、それを思うとしめつけられるように苦しい。
「ええ。彼はラケシス様の復権よりもむしろそちらが主眼のようでしたよ、アルテナ」