託宣が下りました。

「彼の妻になります、アンナ様。彼とともに生きる道を模索しようと思います。それがどんな茨の道でも」

 ……どちらかというと奇想天外な道になりそうですが、ともかくそれがわたくしの答。
 アンナ様は微笑みました。

「ええ、アルテナ。あなたの望む道へ」

 託宣は成されます――修道長の粛然たるお言葉が、わたくしの耳を打ちました。

「――ですがきっと、神はあなたの幸福を願ってくださる。託宣はそのためのものだったと信じなさい」

 はい、アンナ様。
 顔を上げ、笑顔を浮かべました。これ以上ないほどの満足感を体の内に覚えながら。



 アンナ様のお部屋を出ると、

「頼む。この通りだ!!!」

 なぜか道行く修道女を拝み倒している騎士の姿。

「……騎士」
「はうぁっ!?」

 わたくしに驚き素っ頓狂な声をあげる彼。その隙に、修道女がそそくさと立ち去っていきます。
 わたくしは目をつり上げました。

「人様に何をしているのです、騎士よ」
「おかしなことはしていない! ただ巫女が在籍していたときの忘れ物か何かを譲ってくれないかと――」
「どこの不審者ですか!」
「俺は不審者ではない! 以前から堂々と巫女を追いかけ回している」

 胸を張って言わないでください騎士よ。

「まさか、以前からそんなことを皆さんに頼んでいるのではありませんね……?」

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