託宣が下りました。

「アルテナ」

 力強い口づけで。何もかもを奪っていって。
 もう逃げ場などないことを、わたくしに教えて。そうして溺れる悦びを教えて――。

 ――今夜も、一緒に寝ようと彼は言いました。
 わたくしは陶然とうなずきました。その奥にひそむ甘やかな予感に震えながら。


 ……帰り道は羽が生えたかのように浮ついた足取りだったと思います。
 後になって思い出すと本当に恥ずかしい限りなのですが――まるでそんなわたくしたちを罰するかのように、罠がお屋敷で待ち構えていたのです。


「おや、お帰りなさいませ旦那様」
「……なんだこれは、ウォルダート」
「王女殿下からでございます。『静かに暮らせると思ったら大間違いよ!』――だそうで」

 モー、ブヒッ、メェ~~~~

 もう夜も近いというのに、真昼のようなにぎやかさ。
 騎士のお屋敷の前庭を、大小さまざまな豚、牛、羊が埋め尽くしていました。
 騎士が悲鳴をあげました。

「どうして受け取ったウォルダート! こんなもの叩き返せ!」
「しかし旦那様、生き物を叩き返すのは至難のわざでございまして」
「そうかもしれんがお前絶対わざと受け取っただろう!?」

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