託宣が下りました。
「それは心外でございます。ところで旦那様、われわれ使用人一同寝所を別所へと移したいのですが、よろしいですか」
「駄目だ! お前らも一緒に埋まれ! あああもう!」
せっかくの夜が台無しだ! ――叫ぶ騎士の声は大量の動物たちの鳴き声に決して負けていません。
かくして、甘いはずだった夜の夢は一瞬にして破れ去ったのです――。
*
あのあと、アンナ様にひそかに聞きました。
『星の巫女は神の実験のためにあったと聞きました。本当ですか?』
どうしてもそれが聞きたかった。わたくしの知らないことを埋めたかったのです。
アンナ様は顔を曇らせました。
『……そのように言う者もおりますが』
お言葉をにごして、それだけ。結局分からずじまいで。
ラケシスのこともまだ不安です。何より魔王が復活する。未来が明るいとは、お世辞にも言えません。
でも――。
(騎士と生きる道の模索。知らないことを知ること。知っていることを愛すること)
未来は自力で勝ち取りなさいと、クラリスさんは言いました。
今なら、分かります。どんな未来を迎えるかはわたくし次第。
(きっと後悔はしないように)
騎士と歩む道にもう惑いなどないように。今、心から。