託宣が下りました。

(あなたのしていることは、俺たちがしてきたことと大差ない)

 ……あなたは、十分に英雄だ、アルテナ。

「ヴァイス! 大丈夫……!?」

 禊ぎの水から上がると、カイが剣と護符を抱えたまま声をかけてきた。
 それに片手を振って応えると、ヴァイスは重くなっていく喉で何とか声を出した。

「あとは頼む、ヨーハン……お前なら、魔物を体内に封じ込めておく方法も知っているだろう」
「……分かりました」

 ヨーハンはうなずいた。ヴァイスはようやく、この旧知の友人へと笑みを向けた。

「……信用しているぞ、ヨーハン」

 ヨーハンが何と返事をしたのか、それは覚えていない。

 薄れ行く意識の中で、ヴァイスは思った。どうか、アルテナ――

(俺は……生き延びる。きっと魔物をこの身の中で倒す。だからどうか……もう一度、あなたに)

 元気になったあなたに会えるように。
 星の神よ、どうか――

 あなたの託宣を、偽りにしないでくれ。どうか。



 魔物憑きとなったヴァイスはすぐさま彼の屋敷へと運び込まれた。そこが一番、人の少なくて済む場所だったのだ。

 アルテナはアルテナの部屋に寝かせ、治療師クラリスがその看病にあたる。カイもそちらについて見守った。

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