託宣が下りました。
(あなたのしていることは、俺たちがしてきたことと大差ない)
……あなたは、十分に英雄だ、アルテナ。
「ヴァイス! 大丈夫……!?」
禊ぎの水から上がると、カイが剣と護符を抱えたまま声をかけてきた。
それに片手を振って応えると、ヴァイスは重くなっていく喉で何とか声を出した。
「あとは頼む、ヨーハン……お前なら、魔物を体内に封じ込めておく方法も知っているだろう」
「……分かりました」
ヨーハンはうなずいた。ヴァイスはようやく、この旧知の友人へと笑みを向けた。
「……信用しているぞ、ヨーハン」
ヨーハンが何と返事をしたのか、それは覚えていない。
薄れ行く意識の中で、ヴァイスは思った。どうか、アルテナ――
(俺は……生き延びる。きっと魔物をこの身の中で倒す。だからどうか……もう一度、あなたに)
元気になったあなたに会えるように。
星の神よ、どうか――
あなたの託宣を、偽りにしないでくれ。どうか。
*
魔物憑きとなったヴァイスはすぐさま彼の屋敷へと運び込まれた。そこが一番、人の少なくて済む場所だったのだ。
アルテナはアルテナの部屋に寝かせ、治療師クラリスがその看病にあたる。カイもそちらについて見守った。