託宣が下りました。
第三部 伝えたいこと
わたくしが目を覚ましたとき、目の前にいたのは治癒師のクラリス様と、心配そうに見守るカイ様のお二人でした。
騎士のお屋敷のわたくしの部屋です。少し頭痛がしますが大したことはありません。体が重いような気もしましたが、
「時間が経てば治るわ……」
クラリス様は穏やかにそう言いました。そして、
「……私たちの話を、聞けそう?」
わたくしは口を開き、真っ先に尋ねました。
「わたくしの中にいた魔物は?」
わたくしが記憶を保っている。それが分かると同時、クラリス様とカイ様はすべてを包み隠さず話してくださったのです。
わたくしが真っ先に願ったことは、騎士の容態を見に行くことでした。
カイ様の反対を押し切って上半身を起こしてみると、体はふらふらでした。クラリス様の治癒術が効いてくるにはまだ時間があるとのこと。しばらくは安静にしていないと、と、カイ様はそう言うのですが。
「お願いです、わたくしにヴァイス様のお姿を見せて!」
わたくしはカイ様と、ちょうど様子を見に来たアレス様にすがりつきました。
アレス様は厳しい声で言います。
「あなたも大変な目に遭ったばかりなんです。体は大事にしてもらわないと」