託宣が下りました。
苦しいときはヴァイス様を思いました。そして、アレス様やカイ様や、シェーラやアンナ様を思いました。
わたくしに生きる意味を思い出させてくれる、大好きな人々を思いました。
――希望を捨てない。絶対に捨てない!
そうして禊ぎの間にたどりついたわたくしは、罪悪感を抱きながらも鍵を破壊し、中に入ったのです――
……騎士がわたくしを助けてくれたことは、おぼろげに覚えています。
聖なる水の中でのたうっていたわたくしを抱きしめた強い腕。そして、わたくしの唇をふさいだ熱い唇。
わたくしの魔物は口から入ったのだと、考えた末にわたくしは察していました。騎士はそれを、そこから吸い出してくれたようです。
そして――
わたくしの代わりに魔物憑きになって――
今、苦しんでいる、と。
*
「お願い……」
とうとうわたくしはすすり泣きました。
情けない話だと自分で思いながらも、涙が止まりませんでした。
カイ様とアレス様が顔を見合わせました。
「……分かりました」
やがてアレス様がため息をつき、「決して無理をしてはなりませんよ」とベッドのわたくしに手を差し伸べます。
「私につかまってください。一人で歩こうとしないように。いいですね?」
わたくしは大人しくうなずき、彼の手を借りてベッドからおりると、肩をお借りしました。