かりそめ蜜夜 極上御曹司はウブな彼女に甘い情欲を昂らせる
「マジ……。なんだか、とんでもない二か月だったのね。なんでもっと早く、話してくれなかったの?」
「言うタイミングがわからなくて。もたもたしてるうちに、終わったって感じ」
自分から終わらせておいて、目から涙が溢れる。そんな私を見兼ねたのか、杏奈がハンカチを差し出した。それを受け取り、目尻を拭う。
「ホント葉月ってバカよねぇ。泣くぐらいなら、なかったことにしてなんて言わなきゃよかったのに」
「私だって言いたくて言ったわけじゃ……ない。でも瑞希さんは、私にはもったいない人で──」
「そんなこと、どうでもいいじゃない。終わったって言ってるけど、それは葉月ひとりが終わらせたつもりでいるだけで、まだ本当には終わってないでしょ? 遊佐部長とちゃんと話をしてないじゃない」
杏奈に痛いところをズバリと言い当てられて、なにも言い返せなくなってしまう。そんなこと私だってわかっている。でも、どうしようもないときだってあるじゃない。
以前の自信のない自分に逆戻り。どんなに瑞希さんのことを想っていても、この気持ちは胸の奥にしまってもう二度と表に出してはいけない。