かりそめ蜜夜 極上御曹司はウブな彼女に甘い情欲を昂らせる

 ドタンと派手な音がフロア内に響き、それに気づいた杏奈が私に駆け寄った。

「葉月、大丈夫? どうしちゃったのよ?」
「杏奈、ごめん。ちょっとめまいがして。でも大丈夫だから……」
「それが大丈夫な顔? そんなわけないでしょ! 立てそう? 医務室に行ったほうがいいって」
 
 杏奈が言うように、このままではいけないともうひとりの私も警鐘を鳴らしている。さすがに迷惑をかけると杏奈に助けてもらいながら立ち上がり、そのまま肩を借りて医務室へと向かった。

「またあとで見に来るから、それまで休んでていいからね」
 
 杏奈はそう言って、医務室から出て行った。余程疲れていたのか、それとも精神的に参っていたのか、医務室のベッドに潜り込むとあっという間に深い眠りについた。




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