かりそめ蜜夜 極上御曹司はウブな彼女に甘い情欲を昂らせる
「さっきから謝ってばかりだな。野中はもっと落ちつきのある女性だと思っていたが、おっちょこちょいというか案外そそっかしいんだな。意外な一面が知れてよかったよ」
からかっているのか遊佐部長はそう言って、私の頭をポンと一撫でする。今日二度目の行為に、キュンと胸が疼いた。
「お、落ち着きなんてありません。普段の私は、いつもこんな感じです」
でも今のは、全面的に遊佐部長が悪い。まさか仕事を終えてこっちに来てくれるとは、少しも思っていなかったから完全に気を抜いていた。
そんなときに姿を現すのだから、やっぱり遊佐部長が悪い。
「そうなのか? じゃあこれからは、もっと気さくな付き合いができそうだ」
遊佐部長は私の肩に手を置き、トントンと軽く叩くと自分のデスクへ向かう。席に着くと、胸ポケットから取り出したシンプルな黒いフレームの眼鏡を掛けた。スマートな一連の流れに、目が釘付けになる。
やっぱり遊佐部長は大人だ。杏奈に『私には似合わない相手』と言われても仕方がないと、胸がチクリと痛む。