かりそめ蜜夜 極上御曹司はウブな彼女に甘い情欲を昂らせる
「特典だな」
「特典……ですか?」
「そう、特典。俺たちに与えられた特別な権利だ。お腹の子の親には、俺と葉月にしかなれない。天から授かった大切な特典を、俺と葉月で一生大切に育てよう」
あんな心のこもった手紙をくれたのだから心のどこかで、名古屋に会いに行けばもう一度やり直すことができる──そう思っていたけれど。
まさかプロポーズまでされるなんて、これは夢?
「泣くほど嬉しいのか?」
柔和な笑みを浮かべた瑞希さんは、そっと手を伸ばし私の目尻を優しく拭ってくれる。彼の仕草で自分が泣いていることに気づいた。
嬉しいなんて言葉では足りない。この世で一番の幸せものじゃないかと思うくらい嬉しくて、また涙が溢れだす。
「ほ、本当に、私をもらって……くれるんですか?」
泣いていてうまく話せない私の手を、瑞希さんの大きな手が包み込む。
「まだ信用できない? いいか、葉月をもらうんじゃない、葉月が欲しいんだ。絶対に幸せにすると誓う。だから、ふたりのそばにいさせてほしい」
「瑞希さん……。はい、よろしくお願いします」
私の手をぎゅっと握る瑞希さん手を、想いが伝わるようにぎゅっと握り返す。瑞希さんは微笑みながら顔を近づけ、甘いキスをひとつ落としてくれた。