かりそめ蜜夜 極上御曹司はウブな彼女に甘い情欲を昂らせる
出かける準備を整えるとホテルのダイニングレストランでモーニングビュッフェを食べ、早々にホテルを出た。土曜日の名古屋駅は、とても混雑している。
いつの間に予約したのか新幹線のグリーン車が取ってあり、十二時前には東京に到着する新幹線に乗り込むと瑞希さんと肩を並べて座った。
グリーン車なんて初めてで最初は緊張したものの、瑞希さんが手を繋いでくれて、東京までの二時間は幸せなときでしかなかった。
東京駅に到着しても、瑞希さんは一向繋いだ手を離してくれない。
「着替えたいので、一度アパートに戻りたいんですけど」
「ダメだ。このまま一緒に知り合いの店に寄って、そこで準備を整えればいい。いいか、もう二度と言わない。葉月のことはもう絶対に離さないから、そのつもりでいて」
「それって、どういう意味……あっ!」
瑞希さんは私の言葉なんて聞く耳を持たずと言わんばかりに、手を引いて歩き出してしまう。でも私の身体のことを思ってか、歩く速度はゆっくりだ。
仕方ない。ここは瑞希さんの言う通りにするとしよう。