かりそめ蜜夜 極上御曹司はウブな彼女に甘い情欲を昂らせる
 
 そのままタクシーに乗り込み連れていかれたのは、瑞希さんの友人が経営するセレクトショップ。店の隣には美容院が併設されているから、なにからなにまで完璧に揃うとタクシーの中で説明を受けた。
 
 時間が経つにつれ、緊張感が高まっていく。
 
 セレクトショップのオーナーが用意してくれていたのは、夏らしい水色のワンピース。

 妊娠三ヶ月。まだほとんどお腹は出ていないのに瑞希さんからのオーダーは、『身体を締めつけない服』だったそうで。それは彼の優しさなのか、それとも心配性なのか、どちらにしても瑞希さんらしい心使いに嬉しさがこみ上げる。

 胸のあたりまで伸びている髪はハーフアップにまとめられ、自分で言うのもなんだけれど、女子力がかなりアップした……ような気がする。

 ヒールの低いパンプスにバッグの小物、アクセサリーまで準備されていて、出来上がった自分の姿を鏡で見せられたときは、この人は誰?と首を傾げるほど。

 「いつにも増して綺麗だ。世界一だな」
 
 なんて歯の浮くような言葉を平然と言い放つ瑞希さんに、「目は確かですか?」と言って額をコツンと突かれたのは本当の話。


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