かりそめ蜜夜 極上御曹司はウブな彼女に甘い情欲を昂らせる
瑞希さんも濃紺の三つ揃えのスーツに着替え、もともと雑誌の中のモデルよりカッコいいのに、輪をかけて素敵な男性に仕上がっている。
私なんかにもったいない──なんて言ったら瑞希さんに怒られてしまうけど、それくらい光輝いて見えるのだから、やっぱり私にはもったいないほどの人。
でも瑞希さんの隣に、ずっと一緒にいると決めたのだから、少しでも彼にふさわしい女性になれるように頑張らなきゃと自然と手に力が入った。
「あの、瑞希さん? ご両親にご挨拶に行くのに、なにか手土産を持っていきたいんですけど」
「そんなこと、葉月はなにも気にしなくて──」
「そうはいきません! こういうことはちゃんとしないと。瑞希さんがなんと言ったって、これだけは譲りません!」
「わかった。わかったから、そんなに興奮しないで。お腹の子に障る。さっきまで緊張してたのに、急にどうしたの?」
「え?」
なんで瑞希さんが、私が緊張していたのを知っているの?
店の外で待っていてもらったタクシーに乗り込むと、瑞希さんが私の肩を抱き寄せた。きょとんとしている私の顔を覗き込み、ふっと笑顔をくれる。