かりそめ蜜夜 極上御曹司はウブな彼女に甘い情欲を昂らせる
「俺の両親に会うんだから、それは並大抵の緊張じゃないだろう。ずっと手が震えていたのを、俺が気づかないとでも思った?」
「どうしてそれを……」
自分でも気づかないほどの震えを、手を繋いでいたからと言って気づいてくれていたなんて……。
「あの状態でひとりにしたら、行かないとか言い出しそうだったから葉月の手を絶対に離したくなかった」
「そんなことは言いませんけど、確かにずっと緊張はしてました。こんな経験は初めてなので」
当たり前だ。だって二十二年間、彼氏がいたためしがないのだから。しかもプロポーズされたのだってまだ昨日の話で、まだ事情がよく呑み込めていない。
こんな状態で普通に結婚の挨拶に行くのだってハードルが高いのに、今現在私のお腹の中には赤ちゃんがいる。順序が違うと言って結婚を反対されるんじゃないかと、不安感から緊張が消えないのだ。
「心配しなくてもいい。結婚は急かされていたが、悪い人たちじゃない」
瑞希さんを育てた人なのだから、言っていることはわかるけど……。気に入ってもらえなかったらどうしようとか、余計なことばかり考えてしまう。