かりそめ蜜夜 極上御曹司はウブな彼女に甘い情欲を昂らせる

「母さん。ちょっとこっちに来てくれないか?」
 
 お父様がキッチンにいるお母様を呼ぶ。これはいよいよ本題に入るのかと、繋がれている瑞希さんの手をぎゅっと握る。同じタイミングでお母様がリビングに来て、お父様の隣に座った。
 
 瑞希さんが姿勢を正したのを見て、私もピンと背筋を伸ばす。

「父さん、母さん。昨日の電話で伝えましたが、彼女と結婚します。俺の結婚に関しては父さんにも父さんの考えがあると思いますが、どうあっても葉月との結婚だけは譲れません」
 
 瑞希さんの熱い決意に心が震える。お父様のことを真っすぐに見つめる目に、噓偽りはない。彼の真剣な想いが伝わって、今にも涙が溢れてしまいそうだ。

「それと、もうひとつ。順序が逆になってしまいましたが、葉月のお腹の中には俺の子どもがいます。妊娠三ヶ月です。だからといって、責任を取るために結婚するんじゃない。葉月のことがなによりも大切で一生守りたいと思うから、一緒になろうと決めました」
 
 お父様もお母様も、瑞希さんの話を黙って真剣に聞いている。私の妊娠のことを知ってどう思ったのか、不安が募らないわけじゃない。でも瑞希さんの一生懸命でゆるぎない気持ちに、励まされる自分がいる。


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