かりそめ蜜夜 極上御曹司はウブな彼女に甘い情欲を昂らせる
「麗華さんとの見合いの話はどうする?」
「先日、正式にお断りをしました。勝手をしてすみません」
「決心は変わらないということか。そうか、よくわかった」
お父様はソファから身を起こし、組んでいた腕を解き私に向き直る。私も慌ててお父様のほうを向いた。
「葉月さん、身体のほうは大丈夫かね?」
「は、はい。最近少し貧血気味でふらつくこともありましたが、瑞希さんも気づかってくれて今は大丈夫です」
「そうですか。不肖の息子が大変申し訳ないことをした。親として謝らせてほしい」
そう言って突然頭を下げられるから、驚いてあたふたしてしまう。そんな私の肩を瑞希さんが、落ち着けというように抱き寄せた。
今は動揺している場合じゃないと瑞希さんから身を離し、彼に頷いてみせた。
「お父様、謝らないでください。妊娠はひとりではできません。愛し合った結果なので、後悔もしていません」
妊娠を知ったとき驚きはしても、産まないという選択肢はなかった。大好きな瑞希さんの子どもを授かったのだから、少なからず不安はあっても嬉しさのほうが勝っていた。
だからこの妊娠は間違いじゃない。それをみんなにわかってほしいのだ。