かりそめ蜜夜 極上御曹司はウブな彼女に甘い情欲を昂らせる

「葉月さん、ありがとう。瑞希、責任重大だぞ。葉月さんとお腹の中の子を、絶対に幸せにしないといけない」
「父さん、じゃあ許して──」
「なにか勘違いをしているようだが、私はいつまでも結婚しないお前にしびれを切らして見合いの場を用意しただけのこと。誰も好きでもない人と結婚しろと言ったわけじゃない。好きな人ができたのなら、それに越したことはないだろう」
「はい、ありがとうございます。葉月、よかったな」
 
 もうそのときには我慢していた涙が溢れていて、頷くことしかできない。

「母さんも、それでいいね?」
「当たり前ですよ。瑞希、おめでとう。葉月さん、瑞希のことをよろしくお願いします。娘と孫が一度にできるなんて、幸せだわ」
 
 お母様は手を叩いて喜んでくれて、泣きながら笑って見せた。最初の心配はどこへやら、ご両親の温かい迎え入れに嬉しさと感謝の気持ちがこみ上げる。

「それにしても葉月さんは、母さんの若いころによく似ている。結婚相手は母親に似ているというが、瑞希と私のタイプはどうやら同じだったみたいだな」
 
 そう言って豪快に笑うお父様を見て、きょとんとしてしまう。


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